貯金について
最近は増税の話題に事欠かない。少子高齢化の進行が問題となって久しいが、2025年には現役世代(20~64歳)2人で1人の高齢者(65歳以上)を支える計算になるのだとか。出生数は年々減少している以上、今後も状況は悪化し、2065年には1.3人の現役世代で1人の高齢者を支えるようになるとの試算も出ている。
医療費、介護費、年金など、社会保障費の負担は今後も増加し続けると予想される。そしてそれを賄うため、今後も増税が重ねられると考えられる。増税発表の度に政府に不満を抱き、ぼやいても何も変わらない。無い袖は振れないのだ。
老後への備え
現役を退いた後の暮らしに必要な老後資金。以前は年金+退職金をメインにやりくりするのだろうか、と漠然と考えていた。ところが昨今は退職金の減額や廃止が行われるケースも出てきているようで、最近は退職金に対しての増税まで取り沙汰されている。年金については国民年金、厚生年金と複数の制度があるが、「現役世代からの仕送り」の要素がある以上、現役世代が減少している現状では年金も減額されてゆくであろうことは想像に難くない。年金(+退職金)による老後の収入はゼロにはならないだろうが、思っていたほどにはもらえなくなってゆくと思われる。
一方、老後の支出については、医療費の窓口負担割合の引き上げ等で今現在の高齢者以上に負担を求められる可能性が高いと考えられる。収入が減り、支出が増えて家計が赤字となれば貯めていた預貯金等を取り崩してゆくことになる。
「国からの援助は先細りするだろう。これからは自分達自身で老後に備える必要が高まってくる。」 そう思った私は貯金を意識するようになっていった。
では老後にはどのくらいの額が必要となってゆくのだろうか。①預貯金等の「安全資産」のみで貯めてゆくのか、株式等の「リスク資産」を含めて貯めてゆくのか。また②老後にどの程度の暮らし(支出)をするのか。③インフレ率がどのように推移するのか。
こういった要素が絡み合うため一概にどのくらいの元本が必要、とは言えないが、貯金は避けては通れないのは事実。色々な方法があるとは思うが、ここでは自分が気に入った貯金法、「なかったこと貯金」を取り上げてみる。
なかったこと貯金
元々自分はあまり浪費をする方ではなかった。飲み会への参加は少ない(そもそもあまりお酒が好きではない)し、タバコも吸わない。ゴルフなどのお金のかかる趣味もなかった。食事は必要な栄養が取れればいいかな、という具合で外食もあまりしていない。
ただ、預金通帳の数字が大きくなるにつれ、「つい大きな買い物に使ってしまうんじゃないか」と不安になることがあった。
「余剰資金はどこかすぐに引き出せない場所に移せばいいのではないか」。そう思っていたところで出会ったのが某個人年金”保険”であった。月々の積み立ての際に入金額から幾らかの手数料が引かれたり、利率が1%台と、預金よりはマシだが株式投資等には劣る利率であったりと、後から考えれば”微妙な”選択であったと思うが、この保険に入ったことで、月々の給与のうち一定額が自分の手の届かない場所に移されることになった。
給与のうち一部は始めから無かったものとして、残ったお金で生活をやりくりする形となる。「なかったこと貯金」が始まったのだ。
なおこの個人年金保険であるが、後に解約している。元本割れしたとしても泣く泣く解約としよう、と考えていたが、積み立て開始から数年経過していたこともあり、幸い元本割れはなかった。ここで得られた資金は後に投資の種銭へと変わった。
現在自分は給与所得の3割程度を目安に貯蓄にあてている。生活支出の1年分程度は預金で蓄えており、突然病気にかかったり事故に遭ったりして収入が途絶えても直ちに生活が困窮することはないため、余剰資金は原則として投資に回している。給与振込口座から毎月自動で一定額が別の預金口座(証券口座と紐付けている)に振り込まれるように設定しており、それでも余剰となった預金は時々手動で証券口座に紐付いた預金口座に送金する、という形を取っている。
自分の現状とこれから
こうした貯金を初めて5年ほどになるが、徐々に貯蓄額が増加してゆき、「老後2000万円問題」で話題となった2000万円も視野に入ってきた。1人あたり2000万円とすると、夫婦2人分で4000万円は確保したいな、となるが、これもいずれは達成されることだろう。
これから先の社会情勢の変化など不安は尽きないが、ある程度の資金を貯めたことで老後不安は少し小さくなったと感じる。引き続き貯蓄に励み、老後破産の回避に努めたい。